アニメ終了後から数年後かな~ちょっと大人になった天晴と小雨ちゃんの楽しいやりとりを書きました
二人の相棒感が本当に好きです
******
俺たちはお互いの領域に踏み込まない。さほど強い興味がないからだ。
俺は剣術や武士道にさほど惹かれないし、向こうも機械の設計や小難しい計算は苦手だろう。ただ、自分の道をまっすぐ歩くお互いの姿を見て、自然と背筋が伸びる。そんなものでいいだろうと思うし、きっと向こうもそう思っているだろう。
ただ、いつからだろうか。
「何を読んでるんだ?」
そう言ってこちらの顔を覗き込んでくるのが満更でもない気持ちになるようになったのは。どうせ俺が読んでいる本の内容を説明したところで、何もわからないという顔をするだけなのに。実のあることではない。
けれど、実のあることがすべてではないということを、俺はもう知っている。
「読んでみるか」
「おう、いいのか。まあ多分読んでもわからんと思うが」
そう言って笑う相棒に、本を渡す。例によって例のごとく、本を開いた瞬間目を白黒させる。
そんな様子を見ているのが存外楽しい。読み終わったらどこまで理解できたか質問してやろう。そうすると相手は負けず嫌いを発揮して、眉間に皺を寄せて頭を回転させながら必死に食らいついてくるのだ。
たぶんこれを、コミュニケーションと呼ぶのだと思う。
「……なあ天晴、これ……何語なんだ?」
「あ」
迂闊だった。
今読んでいる本が英語で書かれたものではないことをすっかり忘れていた。
******
時代背景的に天晴はフランス語もできるんだろうな~って思って書きました。
あの時代日本に入ってくる本はフランス語の方が多かったかもってどこかで聞いたので。